24種1008の瞳

みんなのかお
みんなのかお戸田 杏子

福音館書店 1994-11
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こんにちは どうぶつたち (0.1.2.えほん) てん てん てん (0.1.2えほん) どうぶつのおかあさん (福音館の幼児絵本) もう おきるかな? (0.1.2.えほん)

★★★★☆

動物の顔写真が延々と載っています。その数、24種各21個体。

動物の種類を列挙します。
ゴリラ、ラクダ、レッサーパンダ、ゾウ、アザラシ、サイ、カワウソ、ホッキョクグマ、タヌキ、バク、ヤギ、オランウータン、トラ、カンガルー、カバ、ツキノワグマ、チンパンジー、キリン、オオカミ、キツネ、シマウマ、アライグマ、ライオン、ニホンザル。

悪くないですねえ。
子ども対象の絵本としては、動物の選別は悪くない。もちょっといやらしく言うと、子どもの親、すなわち一般の大人が知っているであろう動物が選別されているという点で悪くない。誰だってまったく未知のものに手を出そうなんて気にならない。その点この本はおなじみの動物がいっぱいで楽しい。
他の同類の本、たとえば「みんなのかお」の作者(戸田&佐藤)の手による「こんにちは どうぶつたち」という絵本の感想を見ると、「動物がマイナーだ」という批判が多いんです。

余談ですが、「こんにちは どうぶつたち」では、「動物の顔がアップ過ぎる。正面顔で動物のシルエットがわかりづらい」というマイナス評価も多いんです。
これは私にとってはいいところなんですけどね。子どもが動物を記号的なイメージでなく、しっかりじっくり観察する仕掛けとしては、むしろ英断だと思います。

話を「みんなのかお」にもどします。

それぞれの動物の顔写真は、日本中の動物園の動物たちを、動物園の来場者が見る位置から撮影したものだそうです。
撮影場所となった動物園の数は81園。どの読者にとっても、まず間違いなく、近所の動物園が含まれているに違いない。

この絵本の出版は1994年ですから、絵本に載っている個体は現在かなり年老いているか、すでに死亡しているものも多いでしょうね。他の動物園に移動している個体もいるかもしれない。絵本で見たのと同じ個体に合える保証はない。
でもね、動物園に行けば絵本と同じ目線で、年老いていれば年老いた個体の、死亡したならその子どもの、さまざまな表情を見ることができるはず。個体が別の動物園に引っ越したなら、その行く末について思いを馳せるのも楽しい。
ああ、この絵本をもって動物園巡りをしたい! そういう本です。

とはいえちょっと残念な点はあります。動物の種類分けが大雑把なんです。
ホッキョクグマやらツキノワグマは別のクマとされていていいのだけれど、細かいのはクマくらいかな。
せめて種類が比較的メジャーなゾウやサイくらいは、アフリカとアジアとかシロとクロとかって分けて欲しかったなあ。
もちろんこれしきのことでこの本の価値が下がるわけではないです。

絵本を見ているとわかる。動物1種あたり21匹の顔が載っているんですけど顔がぜんぶ違う。これだけ並べられると私でもさすがにその差に気づきます。
動物にもそれぞれ個性があること、一体一体が違う、一個の独立したいのちであることがわかります。
私は人間、日本人だけど、それ以上に「私」である。ほかの誰でもない「私」。動物だってそうなんだ・・・!

21の顔を見ながら同時に思います。
ああ、ラクダって、バクって、こんな顔の形してたのか。イメージと違う。知ってるようでぜんぜん知らなかったなあ。
人間の感覚で見たら、とんでもない不細工な顔の種がいるのです。どの個体見ても不細工。種として不細工。けれど、この顔である必然性が、彼らの生活にとってはあるんですよね。

工業製品なんかを見て、無駄がなく洗練されたフォルムと私たちは言います。この洗練を美しいと表現したりもします。そうであるなら、一見不細工に見える彼ら動物の顔って本当に不細工なの?
自分というローカルなモノの見方が普遍的だなんて思い上がらないほうがいいよね。

なぜか最後、怒られた感じ(笑)
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