行列のできる屏風絵

到津の森公園

岩野園長の12月の園内ガイドについての話の続きです。

取材に来ていた新聞記事にはまったく取り上げられてなかったけれど、メインは到津の森の【景観】に関する話でした。

岩野園長は、昨年11月に九年庵(くねんあん)に行ったとのことでした。
九年庵とは佐賀県の紅葉の名所。1年間に1度、最も紅葉の美しい9日間だけ一般公開され、この期間に毎年9万人以上の人々が訪れます。
それは見事な紅葉だったそうです。

てゆか僕も去年行きました。確かに圧巻でした。

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でも行ったあとが僕と岩野園長はぜんぜん違う。園長は考えた。
到津の森の紅葉も間違いなく美しい。じゃあ、なぜこれほど九年庵と到津の森で、紅葉狩り客の人出が違うのか。

園長の至った答えはこうです。
「人が見る風景とは【屏風絵】なんです。
 九年庵のような庭園は、庭に出てぐるっと全体を見回すものではなく、家の中や、あるいはせいぜい縁側から、お茶でも飲みながら眺めるもの。だから、木々も草も水も石も空も、すべてが座る位置から見えるよう凝縮して配置されているんです。
 首を動かさず見える範囲にすべてがある。それは高さならせいぜい4~8Mなんですね。」

計算しました。
これはだいたい左右に90度、上下に70度です。つまり一般的に大人の視野の半分と言われる子どもの視野と同じ範囲ですね。
僕たちが“無意識”で「目に入った」ことに気づく範囲はそんなもんです。

「そういう意味では、到津の森のモミジは背が高すぎるんですね。
 人はわざわざ上を見たり下を覗いたりして確認しない。自然に目に飛び込んでこないといけない。」

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そして、それまでいた室内から、外に出て説明です。
園長は、これからの到津の森の景観づくりの計画を、惜しげもなく語ってくれました。
内容は割愛しますが、ちょっとすごいですよ、この計画は。

「みなさん、到津の森はね、みなさんはどうお考えかはわかりませんが、ここの草花は素晴らしいですよ。私は日本一美しい動物園だと思ってるんですよ。これは本当にそう思ってるんです。」

僕もそう思います。いや、僕は「世界一」だとふれ回っていますがw


岩野園長率いる到津の森は、景観づくりへの思いがハンパない。
その景観づくりは、「展示動物の生息地の再現」と「北九州市に本来ある植物の育成」という、2つの柱に支えられています。
観葉植物という商品があるくらいですから、植物に気を遣うことっていうことは、「居心地のいい場所」を目指しているということでしょう。
曰く「深呼吸のしたくなる動物園」であること。

僕たちは恋愛すると、相手のことはもっと知りたいし、もっと大事にしたくなる。そしてずっと一緒にいたいと思う。

だから到津の森は、僕たち市民に愛される憩いの場となるよう努めているのでしょう。僕たちが動物や植物という【いのち】を知って、愛して、尊重していくためにです。


「動物園は人間のエゴである。」
常にそう語る岩野園長が、動物園の存在を決して否定しない理由が、僕にも少しわかった気がします。


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帰路、フクロテナガザルがじっと空を見つめていました。

到津の森公園 公式サイト
http://www.kpfmmf.jp/zoo/

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