検証!狂気の企画「ごきぶり展」

【周南市徳山動物園】  訪問日 2015/8/26

なにはともあれ、「夏だ!ゴキだ!! ごきぶり展」の話をせねばなるまい。
ネットでも話題である(らしい)。
そりゃそうだ。どう見ても来園者不足に悩む場末の動物園がご乱心したとしか思えない。
もちろん違う。
私は、これほど冷静と情熱が並び立つ企画はあまりないと思う。絶賛か。
今からその理由を説明しますね。写真も載せちゃう。(←重要) 

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2015年7月26日、妻と息子(6歳)と徳山動物園へ。
園内をぐるっと見て、息子も興が乗ったころ、「ごきぶり展」会場に向かう。会場の入口には、ゴキブリを全面にあしらった看板がどーんって・・・マジか。
息子は、「ぉおっ、ごきぶりぃー!?」と看板を見たとたん、テンション上げてきた。よし。レッツゴー。

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会場内は一方通行だ。
私たちを会場へ導く矢印。よく見たらゴキブリの集合体だ。うは、ちょっとテンション上がる。

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まずは、POPでたたみかけるように提供されるゴキブリの歴史や生態などの基礎情報。その周囲を装飾するかのように、壁や床を這って彩るゴキブリ(イラスト)たち。
「こんなの無理ゲー」と思うでしょう。
ところが、2㍍も歩けば、すでにゴキブリ(以下ゴキ)を嫌悪する感覚が麻痺してくるのだ。
嘘みたいだろ、本当なんだぜ、それが。(達也)

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リミッターは外れた。
ゴキの卵鞘(らんしょう:いくつかの卵がはいったカプセル)を、虫めがねを使ってまで観察し、顔の近く(壁)に展示されているクロゴキブリの成長過程標本をまじまじと覗きこむ。
もうみんな(そう、会場の誰もが)ゴキブリの虜である。

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ゴキへの親しみを後押しするのが、世界のゴキブリの呼び方を紹介したPOPだ。
アメリカならコックローチ、中国ならチャンランという具合。
ここで提案されているのが、ゴキを外国語で呼ぶこと。
「昨夜、台所でカックルラック(オランダ)見たよ!」 妖精です。
「スカラファッジョ(イタリア)って、意外とかわいい顔だね」 ポジションはボランチ、チームの要です。
なにこれ慧眼w
私も推奨する。ゴキは外国語で呼べ!

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そして最後は変身コーナーである。ついに(いつのまにか)憧れのゴキブリ樣になれるわけだ。
ここでは、子どもどころか、大人たちもゴキと化して記念撮影をしている。
ゆゆしき事態である。
みんな(私も)今自分が何をしているのかわかっているのか。10分前の人間だったころの気持ちを思い出してほしい(私も)。

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でもじつはまだ終わりじゃあない。いままでは序章にすぎない。ここからが本章なのである。
「暗幕の奥にどうぞお進みください」
はい(ウキウキ)。
もう、われわれに、なんの躊躇もない。

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暗幕のむこうには、世界のゴキがずらり。15種類100匹以上が待ってくれていました…!!
待ってくれていた…、擬人化するほど親近感を感じている自分にびつくりです。

展示は、ガラスの向こうの、さらに水槽内になされている。
決してふれられない。正直ちょっとほっとする。親近感は感じだしたが怖いものは怖い。
でも水槽内だからこそ、ぐぐっと顔を近づけて観察できるのだ。
本物のゴキを見たい気持ちを無駄に高められた結果、みなさんそろってじっくり見ている始末。
すごい光景である。

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最後の展示箇所に、ちゃぶ台とキッチンが。
そう、ついに真打ち登場である! クロゴキブリである。彼らの舞台は家庭なのである。
さすがに一歩後ずさる。まだ私には日本のゴキは生々しすぎたか。待てこれ・・・おもちゃ?
そう、玩具である。動かない、一安心。

しかしあまりにもリアルな展示である。
食べかけのお菓子のあるちゃぶ台に古めかしい(サビもある)キッチン、それらの「いかにも」な場所にゴキがいる。
ああ、わが家の留守中っもこんななのか・・・も。
多くの皆様が、これから家をちゃんと片付けようと決意したと思う。

秀逸なのがキッチンだ。
キッチン自体の古めかしさもそうだが、キッチン道具や引き出し(開閉自由)の中に、はうあ!!
でも所詮人形である。
と、思ったら・・・本物いたー!!!!!(もちろん展示として)
でも、わりと平気で観察できる。むしろ隠れていると残念に思う。
いつのまにか、じっくり見ることができるくらいには耐性できてんだ。

なお、このキッチンの玩具ゴキは、数時間後に行ったら配置が変わってた。
え、おもちゃじゃなかったの!? と一瞬混乱したが、ご安心を。おもちゃです。しかし細やかな演出に翻弄される。

以上展示終わり。

ここで来場者は思う。
「え、ちょっと待てよ。ふれあい・・・したいよ、たぶん」
したいのかよ。

いや、展示をじっくり見てきた者には当然の感情である。
これが「ごきぶり展」の骨(コツ)である。


人が何かを恐れるのは、多くは相手のことを知らないからだ。
クモもヘビも社長も不良も不審な親父も、得体が知れないから怖いのだ。
知っていれば怖くない。
「知っていても怖いものは怖い」と思うかも知れないが、「ここまでは大丈夫、ここからが危険」とわかっているとき、人はむやみに拒絶はしない。適当な距離を保って、ナメてかかることすらやってのける。

逆に、人が何かに興味をもつのは、相手のことを知らないからではない。
逆説的ではあるが、相手のことをある程度知っている(と少なくとも本人が思っている)ときにしか、興味はもてない。
そうして「もっと知りたい」という切望に胸を焦がす。この「もっと」を私たちは愛と呼ぶのかもしれない。違うかもしれない。

まず、文字情報で知を注ぎ、さらなる知を渇望したときに標本や図解が示される。理性だけでなく、きぐるみで感情的にも親和を育むことも忘れない。そうして、もう「偽物」では足りない、早く「本物」を見たいと気持ちが昂って、やっと本物の展示に向かうことが許される。
ただし最初は外国産である。「偽物」ではない。でもちょっとだけ、まだファンタジーだ。これに慣れて、ふたたび玩具、その後にやっとリアルな「本物」のゴキブリ(クロゴキブリ)が登場するのだ。

「怖いものみたさ」を満たすだけでは、単なるお祭りイベントにすぎない。
ここは動物園だ。来園者に命に向き合ってもらわなければ、存在意義がない。
だから、奇をてらった思いつきだけの展示のように見えて、どこまでも理詰めである。

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別にゴキブリは「清潔」だとか、「殺すな、愛せ」と言っている企画展ではない。
ゴキブリの等身大をあらわにしようとしているだけなのだ。
人(少なくとも私)と相容れない生物もいる。
そのとき、その生物を文字どおり生きる価値の無い「虫ケラ」や「悪」と断じて「処理」して終わるか、「寄生獣」の主人公・泉新一のように、「ごめんよ。きみは悪くなんかない……。でも……ごめんよ」と「命を奪う」のか。
命に対する態度の違いの積み重ねは、その人の生涯にどんな影響をあたえるのか。
私はシンイチでありたいと思う。息子にもそうあってほしい。

ようするに私たちもさわったわけですよ、うひょー。
安心してほしい。
さわれるのは、マダガスカルオポゴキブリといい、海外ではペットとしても一般的な存在だ(らしい)。

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でかい。あきれるほどでかい。
ただし羽はなくて飛ばないし、動きは遅いし、脂ぎってなくてカブトムシのような甲虫感すごい。
問題は「ゴキブリ」という名前が与える印象だけだ。
ただし、しっかりと展示を堪能してきた者ならおそらくイケる。

いやこれちょっとかわいいよ!(マジです)

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その後、ゴキブリレース特別戦が開催された。
これは本来、土日祝日の午前11時に1度しか行われない。
11時は早い。私もこれを目指したが間に合わなかった(11時に入園したがそれでは遅い)。

しかし、来場者からの強い要望があったのだろう。急遽、午後に一度開催された。
じじつ、会場は大盛況である。
ゴキブリなのに。

なお、本来は様々な種のゴキのレースであるが、特別戦はマダガスカルゴキのみのレースだった。
みんなでレース予想もした。当てたよ私(笑)
レース箱は、よく見るとゴール付近が黒い。暗いところを好む性質を利用しているらしい。
なお、マダガスカルゴキの子どもはよく動き、大人はあまり動かないという。その理由を考えてみるのも面白いかもしれない。


ごきぶり展、オススメである。


■2015年特別企画展「夏だ!ゴキだ!! ごきぶり展」
期間   7月18日(土)~8月31日(月)
イベント 下記のとおり
    *ゴキブリレース
     土曜日・日曜日・祝日 11:00~
    *ゴキブリキングの登場!
     上記のゴキブリレース開催時に登場します!
    *ゴキブリとのふれあい
     毎日10:00~ 12:00~ 14:00~ 16:00~


次回、ごきぶり展以外の徳山動物園レポート(という名のだらだら日記)を綴る。
つづく


周南市徳山動物園 公式サイト
http://www.tokuyamazoo.jp/

ゴキブリ対策駆除委員会
http://xn--nckn7h8cu07ytkzbhu0b6wf.com/
真面目な(本当に)お役立ちサイト。画像の配慮も行き届いてる!

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