自然保護はツンデレ体質から~旭山動物園・坂東園長のおはなし

想像をこえるだろうと期待をしていったら、予想どおり想像をこえてしまいました。変な日本語。

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2014年10月22日、北九州市にある井筒屋黒崎店で開催されている北海道物産展の応援企画として「旭川特集」の文字が。なにこれ!?

そうです。
「旭川市旭山動物園園長 坂東元(ばんどうげん) 氏×到津の森公園園長 岩野俊郎 氏 来店トークショー」!!!

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会場は井筒屋2階正面玄関。ひでぇw
いや4年前(2010年)の井筒屋小倉本店でのトークショーもたいがいだったけど。

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会場ちかくに旭山のてづくりPOPによる展示がw さすがw

イベントのことをしったのは数日前でした。当日はすでに午前中の予定がはいっていました。仕事がらみでしたがバックレようかとおもいました。無理でした。
それで14:00からの第2部にのみ参加しました。

こ れ が す ば ら し す ぎ ! !

よって、おふたりの発言を、メモのなかからなんとなく時系列に、なんとなくもれなく、書きとめようとおもいます。
以下表記ルールです。

・坂東園長の発言は「板」、岩野園長の発言は「岩」としるす。
・旭山動物園は「旭山」、到津の森公園は「到津」としるす。
・両園長の発言内の太字は、僕がぞくぞくっとしたところ。発言者が強調したしるしではありません。
・()内にしるしたものは、僕による注釈か感想です。

とはいえ最初2、3分はメモをとっておりません。内容としては自己紹介でしたが、ここもメモをとっておくべき内容でした。まあしょうがない。
でははじめます。

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岩:北海道の自然をかんじていただいて、ぜひいってほしい。私もいくたびに姿がちがいます。日本て広くて奇跡的だと感じてもらえれば。よろしくおねがいします。

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坂:動物園の紹介と北海道の紹介をしたいなとおもいます。

坂;旭山といえばいまや有名になりましたけど、旭山も到津も危機的な状況があっていろんな再生がありました。おたがいお客さんをふやそうとしたわけではなく、動物がすばらしいというおもいいを具体化していっただけで。動物で人あつめて、もうかりたいとおもったわけではなく、きてくれた方に、なにかをかんじてもらえればという、そこだけを大事にしたんですね。

坂:旭山に行ったことありますか?

岩:おお、けっこういるじゃですか、午前中は0だったけど(笑)

坂:ありがとうございます(笑) でもまだきたことのない方もいるので、すこし動物園の紹介をしたいとおもいます。

坂:<ありのままのすばらしさ>をつたえたい、ということで代表的な施設の紹介を。地元で話題になり始めたのが「ぺんぎん館」です。あ、これ(ヒョウ舎の画像がでた)は「もうじゅう館」で、それまでは寝てばかりでつまんないつまんないと言われていました。

坂:それがいちばん動物らしくできる場所につくった。これがのちに「行動展示」と呼ばれるようになりました。自分の中ではそんなカテゴリーにはめたつもりはなく命をずかっているだけなんですが。

坂:その次につくったのが「ペンギン館」で、このころには子どもじゃなくて大人同士で何十年ぶりにどれどれと見にくる方もふえました。当時はペンギンというとよちよちしてかわいいという先入観があって、目の前に泳いでいるのに「ペンギンはどこにいるんだ?」といって、目の前のこれはなんだ?」と。

坂:いっしょにきていたおばあちゃんが「サカナですよ」という感じだったんですよ。<ありのまま>のペンギンです。

(1998年もうじゅう館完成、2000年ぺんぎん館完成)

坂:全国区になったのは10年前「あざらし館」をつくってからです。自分今でも不思議だなあと思うが、アザラシは縦におよぐ習性がある。ラッコブームのころ、アザラシはつまらない動物といわれ、ラッコがいなければ人はあつめられないと周囲からはいわれました。しかし、縦に泳いだら(この動物本来の能力をいかしたら)、ただ泳いでいるだけなのにたくさんの人がきてくれました。おかげで新しい動物をよばなくても今の動物で頑張ればというきもちになれました。

(2004年あざらし館完成。ラッコ飼育のピークは、日本動物園水族館協会によると1996年。全国28施設で計118頭が飼育されていた。)

坂:みな、動物園では動物のいいところをつまみぐいで見ている。それを「すべて見た」とおもっている。自分が見たごくかぎられた姿でもって「動物はこういうもんだ」ときめつけている。

坂:これから冬で、雪が積もるとペンギンの散歩をして、これでまた有名になりました。でもペンギンは集団でエサをとりにいってかえってくる、もともとあるく動物なんです。訓練してるわけではないんですよね。

坂:これからの時期、「ペンギンの散歩やってくれないとこまる」と団体のといあわせ、たたかい(笑)がふえる。そんなこといわれても雪がつもっているかどうかです(笑) ショーじゃないんですね

坂:日本のコオロギの卵は寒さにあたらないとかえらないんです。日本の季節があって、つないでいる命がいるんです。

坂:北海道は本当に冬が綺麗です。綺麗が心にのこって、寒さを大切におもって、なにができるかをかんがえてくれたらいいなあ、とおもいます。

坂:ホッキョクグマは雪がふるとはしゃいで寝室にはいりません。(北極という極限の環境下では必須の能力として)1ヶ月くらいは飯くわなくても平気なので。

坂:あついとき動物は無理をしない。冬は旭山らしい動物の姿をみることができます。

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坂:旭山はあたらしい動物をいれてはいません。ずっと園内で引っ越しをしているだけです。最後のおおきな引っ越しとして、キリンやカバの展示がやっとリニューアルできました。これまでの総決算のつもりでつくりました。

(2013年11月きりん舎・かば舎完成)

坂:今いるのが百吉(ももきち)。みなさんはご存知でしょうが長崎のバイオパーク、あそこのですカバ。お母さんは「泳げないカバ」として有名なモモです。日本に始めてカバが来てから100年目の2011年うまれで「百」、たくさんの人に幸せをもたらすようにと「吉」で百吉だそうです。

(百吉は2011年5月28日生まれ。2013年7月2日に旭山へ出立、4日未明に到着。バイオパークやモモの話がでたとき会場から親しみの声がもれました。.)

坂:カバの寿命は約50年です。施設づくりは今だけでなく、これから50年先をかんがえなければなりません。動物のことをかんがえ、同時にあいしてもらえる展示をかんがえて。

坂:かば舎をつくるのにカバのことをしらべていくと「泳げない」ということが絶対にでてくる。水の中でどうすごしているのかがわからない。動物園では深くても2㍍前後。たちあがればとどく。でもカバのすむアフリカではもっと深みもあるはず。深いところがあったら移動できないでは生きてゆけない。深みに入ったらおぼれる、のではなく深いところなりの生活をしているはずだとおもった。

坂:3mちょっとの深さのプールをつくりました。そしたらこれ(動画を見ながら)、本当に泳ぐのはたしかにうまくないんですよ。ほら、ただひたすら沈んでいくだけです。でも水の中で足がつくとぜんぜんちがうんです。気持ちよさそうにはしっています。そして、これを見たときは本当に感動したんですけれど…



(会場で見た映像とは異なりますが、旭川市公式サイトの動画をごらんください。1:25~2:25くらい。トークショーと近い映像は2:02~2:18。)

坂:とんだんです。はいずりあがるかとおもったら、とびました。子どもとはいえ1㌧以上もの体重がある生き物がとぼうという発想をすることに驚きました。このときは本当に涙がでそうになりました(笑) 

(カバのオスは成長すると2~3㌧、メスは2㌧ほどになるそうです。)

坂:通常、飼育下では自分の能力をつかわなくても生きていけるんです。(必要にせまられて)とぶという発想をしたのは、飼育下のカバでは第1号じゃないかと思います。

坂:カバは交尾や出産、授乳も多くを水中で行います。どんなあたらしい本来の姿を見せてくれるのかたのしみです。


坂:北海道の問題についておはなししたいと思います。エゾシカの問題です。旭山ではオオカミの森、エゾシカの森という展示があります。私たち(北海道人)は「雄大な不自然」に身をおいています。オオカミを絶滅させ、エゾシカを害獣化してしまったという命の輪を断ち切ってしまった自覚が必要です。

(2008年オオカミの森完成、2009年エゾシカの森完成。)

:人が快適になろうとすると<有害な動物>がうまれます。

坂:オオカミは昔話などでもわるいイメージがありますが、たいへん謙虚ないきものです。日本では、人にオオカミが危害をくわえたという記録はありません。

坂:エゾシカが増えたのはオオカミの絶滅が原因というより、人がエゾシカがすみやすい環境を整えたからです。たとえば、家畜がおどろくからと鉄砲をつかわなかったため、牧草地はエゾシカに開放されました。

坂:人はじつは動物がふえようがへろうが、生活にかかわりがなければ無関心です。利用の観点からしか見ていないからです。

坂:被害がでてはじめて関心をもちはじめます。しかしこのときオスシカから「駆除」をはじめました。これ意味がありません。シカはハーレム型で一頭のオスに複数のメスがつく、そのオスが殺されれば別のオスがその座に座るだけです。生物学的な視点の欠如です。これが対策をおくらせた要因のひとつでもあります。

坂:世界遺産・知床では藪にかんたんにはいっていけます。というか藪はありません。シカが食べちゃうから。枝も草もある一定のたかさ以下はなにもありません。「山」がなくなっています。そして今、自然遺産なのにシカ、動物が入れないようにしています。

坂:知床ではここ15年間、木が育っていません。おおきい気も枯れかけています。自然遺産の中で「駆除」は賛否あります。しかし…。

坂:(知床の野生のエゾシカと坂東氏との至近距離ツーショットを見せながら)こんなにそばで見れるんです。どこまで近づけるかなとおもったら、さわれました。「なにさわっとんねん!」とにらまれましたが、そのままでした。さわれるとは警戒していないんです。どういうことかわりますか。人間をナメてるんです。

坂:この木は周囲ぐるりとすべて皮がはがれています。エゾシカが食べました。かつてはなかったことです。むかしは「ちょっと食べ」でした。すこし食べてはオオカミを警戒し、移動してまたすこし食べては人の鉄砲からにげた。一周食べられることがなかったから木も復活できました。しかし、ここまでぜんぶ食べられると、もう枯れるしかない。

坂:僕たちなんかはエサをやるふりして、ちかづいてきたらおもいきり蹴りとばしたりします(笑) <距離感>なんですよ。<やさしくする>ことだけが、いいわけじゃない。自然や動物を愛するのと、ペットを愛するというのはちがうんです。

(ツンデレになれってことですね、わかります。)

坂:今の時期も多くの動物が繁殖期をむかえています。このとき生活圏である山の緑がおおいと受胎率があがるというデータがあります。自然のリズムと一致しているのです。自然はつねに豊かではない、からなのでしょう。

坂:知床は世界自然遺産ですが、世界自然<危険>遺産です。ほっといたらなくなる自然です。これからは野生動物とのかかわりかたが変わらなければなりません。

(ここまでで約30分が経過。横で興味深く話をきいていた岩野園長が、このあといよいよはなしはじめます。)

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岩:話をきいていて旭山はうらやましいなあと。到津には水棲生物はいませんから。昔はカバ、アザラシ、オタリア、ペンギンとかいましたけど。水棲生物を見るといいなあといいよなーと思います。陸橋生物は地面や上からしか多くは見られませんから。水槽だと縦や横から見ることができて、科学的かなと思います。水棲生物がいないことがマイナスになるなら飼ってもいいなと思いますが、でもそんなものでもないなと。

岩:旭山は寒いというのが重要なファクターです。それぞれのやりかたをつくって地域性をだせばいい。

岩:ペンギンウォークを最初にしたのは旭山じゃない。(坂東さんを見ながら)そうだよね? でもあまりおもしろくないんですよ。なぜか。コンクリートの上をあるかされているからです。

岩:水棲生物も本当によいが、環境とたたかうならいらないんですよ。環境にあった動物がいい。そうであればこそ、(一度閉園した)昔とはちがったよりよい動物園になれるのです。

岩:先日、八幡高校で話をする機会があって、学生に聞いたら「いとうづゆうえん」を全員しりませんでした。よくかんがえたらそりゃそうですよ。そのころ(到津遊園の閉園は2000年)、かれら1~2歳です。あたらしい動物園になるときです。

岩:よく旭山のような展示をしたらいいのにといわれますが、ちがうんですよ。あれは寒いところでやっているからいいんです。逆に「緑豊かな」、これは旭山では無理なんです。

岩:動物園のすみわけがだいじだと思うんです。特異なものをのこしていこうというか、なぜそれをほかの動物園では考えないところもあるのかがわからない。

岩:旭山にいったとき、キタキツネをみて「キツネだー!」と小菅(こすげ:小菅正夫氏は旭山動物園の前園長で岩野氏の親友)にいうとぜんぜん興味なさそうなんで、なんでときいたら「野犬といっしょだから」と(笑) 北九州ではキツネをみないから興奮したんですね。そばにいるのがいいようにみえて、わるいこともある。

岩:昔と今で生活様式がかわったことが動物が近くにきた原因でもあります。たとえば肉は、今は年中手にはいるけど、昔はマタギみたいな人が捕っていた。それがマタギはいなくなって、<狩猟圧>がかからなくなったんです。

岩:(知床の話にふれ)自然をただのこせばいいというのではなく、元の姿がどうだったかを考えなければならないんです。

坂:人のことがこわくなくなってきたんですよね。「こっちにきたらこわいんだよ」というサインをだしていればこないとおもうんです。

坂:動物園の中の動物を<かわいい>とおもって見るのか、<野生動物>とおもって見るのかだけでも、ぜんぜんちがうとおもいます。

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坂:知床でクマがあるいていると、車が、観光バスも、停まって写真を撮ったりしています。窓も開けたりして。

岩:あれは本当に信じられないね(笑)

坂:でもクマは人より速いんですよ。こわいです。「自然を見る」といってやってきて、それが結果なのか、とおもいます。

(エゾヒグマの最高速度は時速50㌖(100㍍を7秒で駆け抜ける)以上!)

岩:動物園のショーってこわい。かんちがいしてしまうよね。動物はかわいいだけって。節度ある接しかたというのは、僕らがいわないといけないのかもしれないね。

坂:「関心はあるけど身をひく」関係が大切でね。

(好きだけど冷たい態度・・・やっぱツンデレwwwww)

岩:今、野生の動物をもってくることができなくなった中で、あたらしいスタイルの動物園をこれから模索する時代で、これが私たちだけではなく、すべての動物園のテーマなのかも。

(ワシントン条約こと「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」が1973年に採択されて以降、野生動物の輸入はかなり難しくなった。岩野園長がかつていっていた「殺すために連れてくる」、つまり昔は珍奇ということで見世物的につれてきていた。しかし現在は生、つまり繁殖をともなわないというのはNGということにつうじるのでしょう。いや繁殖レベルでは「種と見る」のかんがえかたで、いまや「個体としてせっする」ようになりつつある。)

坂:クマの母親が「駆除」されて、そばにのこされた子熊はかわいそうだと動物園もちこまれるんですね。その子がショーをしてみんなに愛されて…とかこともあった。でもそうすると<展示>と<野生>は別種の動物になってしまいます。

坂:むやみに「こわいんだよ」といいたいわけではなくて、「どういう生きかたをしてるんですよ」をまず僕らがしれるようなみせかたかたをするんだ、ということなんですね。

岩:これからの、今の動物園は今までどおりではだめだと本当におもいます。新しいスタイルの動物園を模索するというのは本当に必要なことだとおもいます。緑をたくさんうえて、動物者の中に木がたくさんある動物園て本当にないんですね。そういったもの、環境みたいなものもかんがえてながらやっていく、動物園の役割みたいなものもあるんじゃないかなと思うんですね。

岩;じつは坂ちゃんとは、あ、坂ちゃんっていっちゃった(笑)、昨日からそんな話ばっかりしてるんですね。話はつきんのですが、どうにもこの話はおわらないですね(笑) でももうそろそろおわらないといないんで。やめてくださいと顔をしているんで、そろそろおひらきにしたいと思います(笑) ありがとうございました。

坂:ありがとうございました。

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ということで賞味60分のドリームタイムでした。

かなり長くなりましたが、これでもだいぶ省略した部分も多かったり、いいまわしをすこし変更したりして、正確につたわるかどうか。どうにも散文的になってしまい、おふたりの空気感がうまくだせません。
せめて録音してかきおこしをするべきだったかも。できるかー!!!w

しかし(上の文ではうまく記録できていないが)おふたりともすごく表現がおもしろく、はっとしました。
いっていることはあたりまえのことなんですが、表現のしかたというか、ちがった角度からものを見ていてぞくぞくしました。
それから、その<あたりまえ>のことをたくさん言語化してくれてよかったなと。

通常、「あたりまえのことはかたられない」のです。
どの業界でもそうですが、あたりまえのことは「かたるに値しない」のです。
だってあたりまえなんですから。だれもがしっている(はず)ですから。
あたりまえをきちんと言語化するところが、すごい人がすごいといわれる所以だと思います。

あと、岩野園長とひさしぶりに(すこしだけ)、おはなしできたことがたのしかったわあ。


旭山動物園 公式サイト
→ http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
到津の森公園 公式サイト
http://www.itozu-zoo.jp/

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