ふるさとは到津の森公園

「ひろば北九州」内の連載の書き写しシリーズです。
始めた理由は、興味ないかもしれないけど、いちおう、ね。→コチラ


今回は「ZOOっとそばに到津の森」(「ひろば北九州」2011年6月号)分!

プレーリードッグかー。
到津の森のプレーリーは、2009年にさらわれた(盗難に遭った)ことがありました。
当時このブログをも取り上げました。いやー義憤を覚えてますね、なにこれ恥ずかしい。

でも到津の森の人々は違いました。
当時の管理に不手際があったといえば、そうかもしれません。(僕は盗んだ者が悪いとしか思わないけど。)
彼らの怒り、悲しみ、むなしさは察するに余りあります。しかしかれらは黙って仕事をこなしていました。
プレーリードッグの仲間を増やし、厩舎をより見やすく興味深いものに造り替えました。タッチタイムも止めませんでした。
盗難のあった2009年に、北九州市では小学校でモルモットを飼育する取り組みが始まったそうです。そこにも協力を惜しみません。
子どもたちへの働きかけを徹底したのです。
命の不思議に真に驚いた子どもたちは、将来、同じ愚行を犯すことはない。

関係ないけど中上志保さん、うちの息子(4歳、2013年時点)が大ファンなんですよねー。ワカルわーw いや僕もファンですし。

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「ふるさとは到津の森公園」

文:到津の森公園 飼育展示係 中上志保


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 今年(※2011年)2月、ベビーラッシュを迎えた動物がいます。正式名は「テンジクネズミ」ですが、皆さんには「モルモット」と呼ぶ方が馴染み深いでしょう。かわいらしい容姿やおとなしい性格から、最近ではペットとしての人気も高い動物です。

 当園では。ふれあい動物園のイベントでこのモルモットとふれあえます。膝の上でおとなしくしている姿は、子ども大人を問わず癒しとなり、命の温かさを感じさせてくれます。

 モルモットは、そのベビーラッシュのときに生まれた25頭を合わせると全部で74頭になり、当園一の大所帯になりました。小さい仲間たちですが、その1頭1頭に名前をつけ、大切に飼育しています。繁殖はとっても簡単。雄と雌を同居させるだけです。そのため、管理を怠るとネズミ算式に増えますので、普段は雄と雌を別々に飼育し、繁殖の必要がある時だけ同居させて管理します。

 ウサギは妊娠期間がひと月の未熟な子を産みます。それに比べてモルモットは約2ヶ月です。母親のお腹の中でしっかり育っているので、毛並みが揃い、親をギュッと小さくした姿で生まれます。驚くことに、翌日には餌を食べたり、歩いたりできます。この小さな誕生は、ライオンやトラ、プレーリードッグ、ペンギンなどこれまで私が担当してきた様々な動物の出産や子育てと比べても感慨深いものです。

 わずか1㌔㌘にも満たない母親の体に50~100㌘の赤ちゃんが3、4頭入っています。そのため、出産が近づくと体は横に張り出し、歩くのもやっとの状態です。そして、まさに出産は命がけ。その出産で体力を使いきっているはずの母親ですが、生まれた子をきれいになめて乾かしたり、寒くないようお腹の下で温めたりしながら、かいがいしく世話をします。その姿を見ていると、繁殖しやすいモルモットも、繁殖技術が必要な希少動物も、そして私たち人間も、生まれてくる命は同じだと実感します。

 小さな命ですが今回の出産は多くの人が気にかけていました。飼育員は出産に立ち会えた時、ともに喜び、目を輝かせて見守っていました。また、お気に入りのモルモットが妊娠しているのを知った方が、赤ちゃんが生まれたかどうかを確かめるために何度か通い詰める姿も印象的でした。これらの皆さんの愛情をたっぷり受け取った赤ちゃんは、これからも多くの方々に成長を見守られ育っていきますが、実は大切な使命を与えられています。

 モルモットは、ふれあえる動物として子どもたちに人気です。タッチタイムでは、子どもから大人までその愛らしさにふれることができます。しかし、家畜化されているとはいえ、最初から馴れているわけでも、おとなしいわけでもありません。ふれあうことができるのは、小さな子どもの膝の上でもじっとできるように、時間をかけて馴らす訓練を行っているからです。

 当園のモルモットの子どもは、生まれてから離乳するひと月余りで母親と別れ、人に馴れる訓練を始めます。馴らすといっても、相手は言葉の通じない動物で、ましてや自分の体の何百倍もある人間にさわられるのです。そう簡単に心を開いてくれません。最初は必死に全力で逃げようとする子どもを膝に乗せ、やさしくなでながら、少しずつ少しずつ「人間は怖くないんだよ」「大丈夫だよ」と、話しかけます。膝の上で上手にじっとできれば、ご褒美に野菜の切れ端などのおやつをあげます。これを何度も何度も繰り返すことで、安心感を与え、人と動物との間で信頼関係を築いていきます。

 これら馴らしの訓練を当園では飼育員だけでなく、10人のボランティアの皆さんも行っています。その皆さんはボランティア活動を数年以上継続している方々です。自宅でも動物を飼っている方が多く、動物の扱いも上手で我が子のように接して愛情を注いでいるからか、馴れるのも早いようです。このように順調に準備が進んでいますので、この子たちがふれあい動物園で活躍する日もそう遠くないと感じています。


■全部の小学校に巣立ってほしい


 また、当園のモルモットにはもう一つ活躍の場があります。平成21年度(※2009年)から、市内の小学校でモルモットを飼育する取り組みが始まりました。これまで学校の飼育小屋にいるのはウサギでした。しかし、ウサギは縄張り意識が強く争って怪我をしたり、ストレスに弱くて病気になりやすい動物です。そのため、今では性格が穏やかで複数での飼育が可能なモルモットへ移行しつつあります。

 北九州市では、飼育を希望する小学校に飼育方法や飼育施設のアドバイス、病気相談などを行うため、教育委員会や獣医師会、動物愛護センターが協力して取り組んでいます。当園はその取り組みに賛同し、生まれ育ったモルモットを学校に譲渡しています。そう、2月に生まれた子どもたちも、ゆくゆくは小学校に旅立つ使命を帯びているのです。当園生まれのモルモットは、あちこちの学校で大勢の子どもと出合います。その中で、この小さな動物から命の温かみを教わり、世話をする責任感や思いやりの気持ちを養っていくことでしょう。もしかすると、モルモットたちは小学生の良き話し相手になってくれているのかもしれません。

 最近は住宅事情などから動物を家で飼うことが少なくなっています。普段身近に動物がいない子どもたちにとっても、学校でモルモットにふれあえることは良いことです。偶然、私の息子の通う小学校にも。当園生まれのモルモットがやってきました。PTA活動や授業参観で学校を訪れるたびに様子を見に行くと、子どもたちが集まって、目をキラキラと輝かせて話してくれます。「今日はモモちゃんがお水をたくさん飲んだよー」「どうやって抱っこするん?」「ウンチはコロコロやね!」などなど。そのような子どもたちの姿を見ていると、当園生まれのモルモットたちが、すでに彼らの友だちになっていると感じました。

 今はまだ12校ですが、将来、市内の全小学校に当園ゆかりのモルモットがいたら・・・・・・。合言葉は「ふるさとは到津の森公園」。これからも子どもたちの友だちとして、たくさんのモルモットたちが当園を巣立っていきます。私は、少しだけそのお手伝いをしていけたらと思っています。




【到津の森公園(小倉北区上到津)】
 前身は西鉄が経営する到津遊園。昭和7年開園。遊園地に併設された動物園として市民に親しまれたが、平成10年、経営難を理由に閉園方針を発表。だが、26万人分の存続署名が集まり、北九州市が引き継ぎ、平成14年、到津の森公園として再開。
 自然に、動物に、人間にやさしいをコンセプトに、約100種500頭の動物を展示。また、「市民と自然を結ぶ窓口」として、市民がエサ代などを寄付できる制度、エサの準備などに協力する市民ボランティア制度もあり、市民と一体となった動物園づくりをしている。

web http://www.itozu-zoo.jp/


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馴らしの訓練でボランティアさん・・・これって理想の関係ジャマイカ。

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