おまえの体験はおれのもの、ジャイアニズム溢れる動物めぐり

■「キミに会いたい 動物園と水族館をめぐる旅」 吉本由美・著(新潮社)

キミに会いたい 動物園と水族館をめぐる旅キミに会いたい 動物園と水族館をめぐる旅
吉本 由美

新潮社 2009-09-01
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★★★★☆

北海道から沖縄まで全24施設の動物園、水族館の情報が載っています。
ただし、決してガイドブックではありません。
充分公平さを保った内容であることを保証しつつも、非常に主観的な視点で書かれていると言わざるを得ない・・・エッセイ?

いちおう各施設の基本情報(住所、アクセス、開館時間、料金、みどころ等)が掲載されています。でも綴られているのは、あくまで筆者が動物園や水族館に行った日の出来事です。別の日に行くしかない読者にとっては日ごとに古くなる内容で、そういう意味では使えないっす。(暴言)

でもそれが本書の価値を損なうことはない。いや、それゆえに本書は魅力的なんだ。

「旅」(新潮社)が休刊となるという新聞記事を目にしたのは2012年の初頭でした。
1924年に創刊以来、休刊となった2012年3月号まで1002号を積み重ねた愛すべき雑誌でした。
この「旅」についての新聞記事で紹介されていたのが本書です。そうです。本書はもともと「旅」の連載だったのです・・・!

だから、だからこそ、「当時」の出来事や思いが書き留められている。
駅に着き、町を散策し、郷土料理に舌鼓を打ったことまでもが記されているのは、紀行だからです。道中記なのだ。リアルタイム性こそ命なんです。

動物園等のスペックという名の情報を得る本だと思うと、きっと期待はずれです。
自分の日記を読み返すように読もう。筆者と動物園の関係を味わい、彼らの物語を追体験し、わがものとする。
た、楽しい・・・。

「ああ、“また”あそこに行きたい。“もう一度”キミに会いたい・・・!」
まだ一度も見たことすらないあの動物園も、この水族館も、動物たちも、僕にとってはもはや懐かしい思い出のひとつ。

最高のガイドブックやんけー!(結局)


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