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ゾウが死んでも欲しがるな (岩野俊郎講演会 2012 spring -3-)

目次【前説~30分31分~63分:64分~91分(終了)】


2012年6月16日 於・北九州市立子育てふれあい交流プラザ“元気のもり”
到津の森公園園長・岩野俊郎氏講演「なぜ到津の森に子どもを連れて行きたくなるのか」

今回は64分から、ついにラストまで。
珍獣奇獣、動物芸をありがたく思って欲しくない。子どもに「物」を与えて失敗してきたのが今の日本。
「物」を与えて解決!ではなく、子どもたちがいかに次の夢を語れるようにするのが大人の役割ではないか。
という話のつづきから。

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64, もう少し考えて、もう少し足下見つめること=しっかりとした現状分析、ができないか。マダガスカルをはじめ、地球環境が悪化し、今まで簡単に手に入っていた動物も手に入らなくなる。決して、動物の種類や数が多い動物園がいい動物園、ではない。

65, ジョージ・シャラー(米、1933-)というゴリラの研究家の研究を元に、自然を切り取って何十億もかけて整備した動物園コンゴ・フォレスト。でも動物にとってはそれすら完全な環境ではない。

66, 旭山動物園のアザラシの展示を真似た水族館がある。物真似したら人が来るとでも思ったのか。僕は到津遊園を辞めるとき、旭川の建物だけは絶対に真似しないでと言った。旭山が駄目なのではなく、真似るべきはそれをつくろうとした気持ち(ハート)ということ。

67, 旭山は見せたいものが先にあって、あれらの形になったことに意味がある。今や飼育係は、獣舎を清掃するだけの単純労働者ではなく、知的な労働者である。メッセージを伝えることが飼育係の仕事。僕(園長)の役割はマネージャー(管理)からディレクター(方向性を決める)となった。

68, ものをつくるという意識(プロデュース)をもたないと今ややっていけない。

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69, 動物園はすべての自然を表現することはできない。できるのは生命感(生きている感じ)と生命環(生きているしるし、生死の循環)を伝えること。市民が動物園に期待して欲しいのは、「動物学、環境学、社会、児童教育、社会教育としての場、そして非日常の空間としての場である」こと。メッセージを伝えてくれるスタッフは宝。独創的な仕事をつくり、実行しようといつも言っている。そのためには人生の中で出会った好きなものを逃さない豊富なアンテナがいる。

70, 消費されない生命とは何か。ゾウは寿命60年だから、ひとりの人間が見るゾウの数は多くて2頭。だからゾウが死んだら気軽にまた入れてと言う。しかし寿命が5年で、そのたびに入れていたら、「増やす努力をしろ」「いつも殺してばかり」と誰でも言うはず。60年という長い寿命が、永遠に生きていると錯覚させる。日本の動物園のゾウは、子どもを何年も生んでいない。インドゾウは現地でも数が激減している。なのに動物園のゾウが死ぬとインドからもってこいと言う。消費している命というのが実際にある。

71, 消費されない命は、循環する命を提示しないとわからない。ゾウを飼いたい、でも命が持続(繁殖)できるか、維持経費、人材、獣舎面積はどうか。増えたときの対応は。それらを踏まえてなお本当にゾウが必要か。必要と決定し、その決定を持続するためにはブレない運営方針が必要。たとえば市営の動物園、市長交替のたびに方針が変わると困る。どういう考えでもって市民に対するか。動物園は文化施設だ。娯楽ではなく市民の生活の質を上げるもの。

72, ブレないためには、確かな方針と経済的な基盤を持つこと。そして大切なのは地域性。「北海道の気候でいい=北九州でいい」わけではない。文化も違う。北九州はできて150年程度と文化程度が低い。150年で文化は醸成しない。もともと合併してできた街で、また八幡製鉄所で働く者など、いろんな文化が流入し一緒になった街。

73, あちこちの食いっぱぐれた人間が集まったので、みんな助け合い人情深い。でも文化性は高くない。低いのは悪いことではない。これから新しい文化をつくればよいだけ。「育てる」とは今望む姿だけではなく、将来そうあって欲しい姿を描くこと。

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74, 到津の森の「樹幹の森」の話。10年経つとこれほど(写真上→下)木が大きく茂る。植えた当時、将来こうしたいと思い描いていた。人も動物も動物園も「育てる」もの。同時に人も動物も動物園も自身で「育つ」ものである。将来像がなければ育てられないし、育ちもしない。動物園も生き物であると最近強く思う。

75, 2009年にアフリカに行ったときのアフリカゾウの映像を見てください。

76, もう1回お見せしましょうか。

77, これ実は偶然で、僕赤ちゃんが撮りたかった。自分たちの前を通ると思わなかったので、慌ててビデオを取り出して撮った。

78, 自分の目がいつも赤ちゃんを撮りたいと思っているのが映像を見てわかると思う。この映像をお見せしたのにはワケがある。皆さんにとってはゾウが通っていくだけの、何ということのない映像だと思う。

79, これで何かを感じた人? 子ゾウが真ん中にいる? いいところに気がつきますね、親というのはみんなそうなんですね。でも僕はまた違うところに目をつけた。お母さん、赤ちゃん、お兄ちゃん(お姉ちゃんかもしれないが)、この3頭の構成がゾウのいちばん小さな群れの単位。サンドイッチ状に真ん中に必ず赤ちゃんをおく。

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80, 子どもたちはお母さんが道を真っ直ぐに進むと思った。お母さんが曲がり、赤ちゃんはすぐに気づくが、お兄ちゃんはまだ真っ直ぐ進む。赤ちゃんに言われてお兄ちゃんも方向転換する。進路変更した先がちょっと坂になっている。赤ちゃんには急傾斜すぎたようで、お兄ちゃんが赤ちゃんを追い越した。するとお兄ちゃんはしばらく立ち止まってる。

81, やがて赤ちゃんがお兄ちゃんを抜き、順番が元に戻ったのがわかって初めて、お兄ちゃんは再び歩き始める。ちょっと感動的ではないですか。動物園でゾウを見せたいと言うとき、それはお母さんでも赤ちゃんでもなく、お兄ちゃんのこの行動である。これをどこで覚えたか。これが学習である。

82, 自分が小さいときに他の子からそうされた。この子を守るためにはこの行動をしないといけない。こういった「営み」を見せられる動物園は今はない。でもこれが見せられないと「動物園らしく」ない。だから一頭いるだけでは駄目。赤ちゃんが生まれただけでも駄目。新しい動物園のあり方がここにある。だからゾウが死んだとき、皆さんはゾウが欲しいと言ったら駄目。入れるんだったら10頭以上にしてくれと言ってください。


83, 動物の種類を見る以外で動物園には行って欲しい。たとえば到津が目指すのは「日本一美しい動物園」をつくる。僕みたいな年寄りが行っても草木花で四季折々、四季感を感じるようにしていきたい。欧州の整形型庭園きちっと整備されたものでなく、日本のお寺の一見整備されていない庭園のような。一見「動物園らしく」なくてもいい。特に地方で生きていく動物園はそうあってしかるべき。

84, 市民のためにどんな動物園にするか。哀れな動物を飼わないようにどうするか。動物が一種でも綺麗な公園ならそれでもいいと思う。こうしたものも北九州がこれから作る新しい文化としてつくっていったらいい。最後に国立動物園の話。日本には国立動物園がない。地方の動物園は海外とのつながりがつくりにくい。

85, つながりができても関係がテイクアンドテイクになりがち。盗りっぱなしで与えることができない。ゾウをいただいたなら、その代わりに現地でゾウを研究し、その成果を現地でも日本でも役立たせるなどすることが、国立ならしやすい。逆に小さい動物園は生きていけないのか。

86, 地方の場合、動物は一種類でもいい。ただし市民の質をあげるために施設があると自覚を持てば、何をするべきかは自ずと見えてくると思う。

87, 今日はまず、動物から子どもを育てるとはどういうことかを考えたが、動物園を育てるのも同じだ。勝手に育つのではなく、思いがあってはじめて育てられるし、育つ。そうした感覚が子どもの頃から必要。長じれば大人になってもそう考える大人になる。

88, そうしたことを考えながら皆さんと一緒にやっていけたらいいなあ、と。ぴったり3時30分。お疲れ様でした。

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89, あ、パンフレットありましたか。(※封筒の隅っこから出てきましたw)実はこれ到津の地図ですが、これで行くと絶対迷うでしょう。これは黒田さんと森本さんが絵を描いて石原稔久さんが動物を陶芸で作って、それらを重ねて写真に撮った実写。左下にこう書いています。
 「動物たちにも地図は/ありますよ。耳でハナでくちで目で/
 体 ぜんぶを つかっての 地図を/それぞれが もっている。/
 その地図を たいせつに つかって/たくさんの イキモノが/
 それぞれに 一生懸命に/生きている。/
 この地図はそんな気持ちを/こめてつくった ここのちずです。/
 みなさん自由にこの地図で/あそんでください」


90, ユニークなつくりですが、クレームが来た。これじゃどこにいるかわからんと。館内にはちゃんとした地図がありますんで。

91, 帰りにぜひ持って行ってください。

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おちまい。


到津の森公園 公式サイト
http://www.itozu-zoo.jp/

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おれもう泣きそう。
あああああ、ありがとうございましたー!! おつかれさまでしたー!!

しかし要約が下手だなおれ。(T-T)


目次【前説~30分31分~63分:64分~91分(終了)】

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