語られなかった動物記

とてもとてもとても読みたい本がありました。
シリーズ物です。1巻がべらぼうに面白かったので、2巻が出てると知ったとき即買いました。去年の秋だったと思う。
でもずっと読まなかった。読めなかった。
読む時間がなかったわけではない。その間も他の本はどんどん読んだもん。
魅力がなかったわけでもない。むしろ逆。魅力がありすぎた。

彼女(女?)と遊びで終わるのは嫌だった。

僕は本を読むときまとまった時間はいらない。
1分でも2分でも、空いた時間で読む。それを繰り返して1冊読み終える。
そして同時期に少なくとも5冊くらいは平行して読む。
彼女とはそういうのが嫌だった。

僕は彼女にハマルことがわかっていた。 だから身辺整理が必要だったのです。
でも、もちろん魅力的な本は次から次へと現れる。
そしていつしか彼女のことは忘れていた。なんの話だ。

とにかくそういうわけで、この読書は恋い焦がれて待ち望んだ出会いだったのです。半年もほっといたわけだが。


■「あさひやま動物記(2) カバのカップルと夢みるゾウの群れ」 小菅正夫・著 (角川書店)
あさひやま動物記(2)  カバのカップルと夢みるゾウの群れ (角川つばさ文庫)あさひやま動物記(2) カバのカップルと夢みるゾウの群れ (角川つばさ文庫)
小菅 正夫 秋草 愛

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-05-14
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★★★★★(満点)

小菅正夫は今、旭山動物園の名誉園長で、かつて旭山がどん底から有名になっていった時期はずっと現場の園長でした。
内容はタイトルがすべて。旭山動物園の動物たちの記録です。

200ページ超の中で取り上げている動物は「ゾウ」「カバ」「トナカイ」「サル(アカゲザル)」の4種。
決して人気がないわけではないが、 僕たちが旭山動物園と聞いてイメージする動物ではありません。むしろ今いない動物もいる。

今もメディアで取り上げられる旭山は「行動展示」ありきだと思う。(テレビをほとんど見ないので違ったら申し訳ない。)
ゆえにメディアで語られる旭山の歴史も「行動展示へ到る道」だ。(だから見てないけど、たぶん。)
確かに「閉園の危機→行動展示で起死回生→運命逆転、日本一→そして世界へ」というストーリーはいつ聞いてもぞくぞくする。

でも行動展示は目的ではなく、目的を達成するためのツールですよね。
旭山の目的、つまり理念を達成するには行動展示でなくったっていい。
けれどやっぱり行動展示に繋がらない動物たちの物語は語られない。それ自体は悪いことじゃない。行動展示を語るなら僕だって相応の取捨選択をする。

ああ、だがしかし・・・語りたいのが理念そのものだったなら、どう?
行動展示以外のすべての動物にも理念は反映されているはずです。だってすべてに反映していないものを理念とは呼ばない。

理念のために始めたことがあるなら、理念のために意図して止めたこと、があるはずだ。
止めたことは理念にとって「悪い」から止めたことでしょう。悪いことは語られたがらない。
そしてこの語られなかった物語にこそ、旭山の本当があると僕は思うのです。

これまで知り得なかった旭山の動物たちの物語が淡々と綴られています。
淡々だけど描写されるのは命の生死だ。沸き上がる感情は淡々ではいられません。

って、本の内容には一切触れてないですね(笑)
いやさ、僕が話して物語を卑小化したないんです。
そうこれは旭山の最高の物語。
小菅正夫って旭山動物園にとって最高の語り部の話に耳を傾けてください。
あー、このシリーズ本当に好き。

1巻の感想
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