恐怖の草食系

【くじゅう自然動物園】

まだまだ暖かかった秋のころ(10/9)、和やかにも家族そろってくじゅう自然動物公園へいったのだ。

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入園ゲート前の空き地にヤギが繋がれていた。お迎えご苦労てなもんだ。
しかし一心不乱に足下の草を食べる姿は何だか空恐ろしく、見ているこちらを不安な気持ちにさせる。せっかく楽しみに動物園に来たのにどういうつもりであろうか。
ヤギの向こうにはちょっと開けた広場がある。キャンプ場らしい。意外と機能充実なスポットなのだ。夏休みに便利そう。もう冬だけど。

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草を食べるしか能がないヤギに見切りを付けて、僕らは動物園に入った。するとヤギがのっそり現れた。若い女性スタッフもにっこり現れた。
「抱っこしてみませんか?」「エサやミルクをやってみませんか?」
とそのスタッフの方が春の日だまりのような優しい笑顔で話しかけてきてくれた。でも有料なのでご遠慮した。するとなんとこの女、息子(2歳)に直接語りかけるではないか。
ところが女の目論見は脆くも崩れさった。これまでの人生の中で動物にエサをやった経験がない息子(2歳)にとっては、女の甘い讒言も外国語のように意味不明であったのだ。
息子(2歳)は日本人らしくさして意味のない笑みだけを振りまき、女を無視してずんずん無遠慮に進んでいった。

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園内は息子(2歳)も開放感のあまり駆け出すほどの開放感である。

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ここでは動物は基本的に放し飼いである。
傾斜を駆け上がるダマジカだの、池に入るヒツジだの、珍しい光景に出会えるのが愉快だ。人と動物が柵のない同じ場所にいることは、想像以上に気分を高揚させるものである。
息子(2歳)も今自分がいる場所が、人の道か獣の道かわからなくなり、ミニブタやシカを追いかけながらふらふらと林の向こうに消えかけた。神隠しの瞬間に出くわすのは嫌なので慌てて息子(2歳)を追いかけた。いらぬ苦労をさせるやつだ。

なんとかイノシシとかなんとかロバとか、ちょっと気性が荒いイメージがあったり体が大きかったりする動物のなかには、一部柵の中にいる動物もいた。しかし肝心の柵はどれも壊れかけている(ように見える)ので侮れない。
金まで払って入ったお客をなぜこんなにも恐怖に陥れるのか。スタッフに聞きたかったが、周りは動物ばかりでスタッフの姿はない。他のお客と目が合ったのでとりあえず笑っておいた。
とにかくおかげで、「動物はかわいい」だけでなく「こわい」と、ある意味畏怖の念をもつことができたのでありがたいなあと思った。何事も心の持ちようである。

こわいといえばラマの話もせざるをえない。
園内ではラマも放し飼いしている。ラマはデカイ。目の前に来たら死を覚悟するほどだ。大袈裟ではなく一定サイズ以上の動物の迫力とはそういうものだ。
このラマが凄まじい勢いで園内を駆け抜けているのである。ドドドドド!!という姿が見える前に迫ってくる地響きは心底恐ろしい。風のように駆け抜ける2頭。お客は何事かと目を合わせるが当然誰も答えは知らない。そして静寂・・・。

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しばらくすると、向こうから見たこともない巨大な生き物がドッドッドッドとやってきた。ラマか。それにしては歩みが遅いし大きすぎる。新たな生物か。皆の顔に恐怖がはりつく。
近づいてきたそれをみて唖然とした。なんと先ほどの2頭が交尾しながらやってきたのである。

どうやら最初は発情しているオスからメスが逃げ回っていたらしい。その後オスはなんとか背後にのしかかることに成功したものの、メスはさらに逃げようとするので、合体したまま園内を回る2頭という構図のようだ。
なんだか泣き出す子どもたち。泣きたいのはこっちだよ。情操教育にもほどがある。

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恐怖とグッタリに飲み込まれた僕たちの前に不意にブランコが現れた。周りにヤギも寝そべっているという急転直下の牧歌的な光景。つい数分前の悪夢を忘れたい子どもや大人が我先にとこぎたがっている。
しかしそれも罠だった。ヤギどもがブランコの射程圏内に入ってくるのだ。危ないじゃないか。何を考えているのか。いやこの危機にお前たちの野生の血は何をしているのか。

そう思ったところポケットにお菓子を入れている子どもに群がり泣かす動物ども。野生の血が都合よく発動したらしい。
そこで僕気づいちゃったんです。もしやここ、昼ご飯食べる場所とか一切ないじゃん。


ここまで読むとおわかりいただけたかと思うが、ここは動物園とは言っても別にゾウやキリンがいるわけではない。ヤギとかシカとかがいるだけの地味な動物園である。
しかし退屈はしない。気も抜けない。
いやー疲れた疲れた。やっぱ家がイチバン!! などと帰宅すぐソファーに身を投げ出して酒でもいっぱいが至福のとき・・・なんて経験がある方にはぜひオススメしたい約束の地である。


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余談だが、寝ているヤギの仔をつかまえて、みんながこぞってかわいいかわいいと囃し立てていた。

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本当にそう思うのか。本当か。


くじゅう自然動物園 公式サイト
http://www16.plala.or.jp/kuju-zoo/

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